この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。

本展では、日本から海を渡り、世界へ旅した伊万里焼の歩みを紹介いたします。
1610年代に、本格的に生産がはじまった日本初の磁器である伊万里焼は、1650年頃、ヨーロッパを中心とした海外にも輸出をされます。その背景には、それまでヨーロッパへ輸出されていた中国の磁器が、1644年に起こった、中国の王朝が明から清へ変わる内乱によって入手できなくなったことがあります。そこで、輸出を担っていたオランダ東インド会社は、日本の磁器を新たな輸出品として求めました。
伊万里焼は当初、中国の磁器を手本としていましたが、次第に日本独自の意匠も生まれ、それは輸出向けに作られた柿右衛門様式誕生にもつながります。
海を渡った伊万里焼は、日用品として人々の暮らしを彩るだけでなく、宮殿を飾る装飾品としてヨーロッパの王侯貴族を魅了し、異国の文化の中で新たな価値を育んでいきました。
海を渡った伊万里焼が世界で歩んだ軌跡と、その美しさをぜひご堪能ください。

「染付牡丹鳳凰文蓋付壷・染付牡丹鳳凰文瓶」 元禄時代(1690-1730年代)
学芸員が、展示内容について解説を行います。
日 時 | 9月20日(日)、10月4日(日) 各日とも11時~(1時間程度)
開催場所 | 松濤園(御馳走一番館・陶磁器館)
参 加 費 | 無料(ただし、別途入館料が必要)
松濤園
公益財団法人 蘭島文化振興財団 松濤園 〒737-0301 広島県呉市下蒲刈町下島2277-3
TEL:0823-65-2900 FAX:0823-65-2711