この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。
青い顔料で器を彩る「染付」という技法と、金彩を含む赤、黄、緑などの色彩で釉薬の上から絵付けした「上絵付け」という技法で作られた作品を「染錦」と呼ぶこともあります。代表的な作例に「金襴手」の作品が挙げられます。金襴手の作品は華やかなものが多く、多くの大皿や大壷がヨーロッパの宮殿を飾るために輸出され、国内向けには型物と呼ばれる豪華な鉢などが作られました。
本展では松濤園陶磁器館の作品を中心に、伊万里焼の歴史を概観しながら、華麗に彩られた器たちを紹介します。
「色絵牡丹壽字文皿」 元禄様式(1700-30)
松濤園
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