三之瀬御本陣芸術文化館さんのせごほんじんげいじゅつぶんかかん(須田国太郎常設展示館)

三之瀬御本陣芸術文化館は、独立美術協会の重鎮として活躍した須田国太郎の作品を中心に、日本近現代の芸術家の作品を展示しています。
また建物は、江戸時代に対馬藩一行など多くの要人が宿泊所として使用した歴史と趣きのある「本陣」の外観を復元したものです。



展示案内

「林武 造形の探究者」

2025年4月16日(水)~ 6月2日(月)

 今年、没後50年を迎えた洋画家の林武(はやし たけし1896-1975)。大正末期から昭和にかけて日本の洋画界で重要な役割を果たしました。鮮やかな原色と大胆な筆致を特徴とし、人物画、静物画、風景画など多く手がけています。
 林武は1896(明治29)年、東京麹町に三代続く国学者の家系に生まれるも、家計が厳しく、若いころから苦学生で、新聞や牛乳を配達したり、ペンキ絵を描いたりして生計を立て、画家を志していました。そして25歳の時、二科展での樗牛賞受賞を皮切りに画壇で脚光を浴び、本格的に洋画家としての道を歩み始めました。
 30歳の頃、当時の新進気鋭の画家たちがフォービスム的傾向を持って創設した一九三〇年協会に参加。4年後にはその潮流を受け継ぐ独立美術協会の創立メンバーに加わり、新時代の美術の確立を高らかに謳い、画壇を牽引していく一人となりました。
 その画風は時代とともに変化し、初期の繊細な表現から、戦後には絵具を厚く盛り上げる手法を取り入れ、力強い表現へと進化しました。34歳と64歳の時に渡欧。セザンヌやモディリアーニ、ビュフェ、ピカソのキュビスムやマティスのフォービスムなど、主にフランスの絵画潮流に影響を受けながら、独特の具象画を確立しました。
 また56歳からの11年間、東京芸術大学の教授として後進の育成にも尽力し、多くの若者に影響を与えました。1967(昭和42)年には文化勲章を受章するなど、その功績は今なお、高く評価されています。
 本展では、林が生涯にわたり描き続けた女性像を中心に、風景画や静物画など鮮烈な色彩と独特な造形感覚で描いた油彩画と素描をあわせて紹介します。また、林は三島由紀夫をはじめとする多くの本の装幀も行っており、その一部も展示いたします。
 なお期間中、蘭島閣美術館別館においても、林武の様々な素描を展示しております。不思議な林ワールドを両館でぜひお楽しみください。



同時開催 須田国太郎の世界
 日本近代絵画史に偉大な足跡を遺した、洋画家・須田国太郎(1891-1961)。
「東西の絵画の綜合」という壮大なテーマを掲げ、さまざまな視点で制作に取り組みました。本展では所蔵品の中から、春らしさを感じる油彩画をはじめ、28歳から4年間の遊学時にヨーロッパ各地を撮影した写真や、須田の愛用品、自ら作陶した陶器などを展示しています。



須田国太郎 「雑草」 1940年 油彩・キャンバス





姫駕籠

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