三之瀬御本陣芸術文化館は、独立美術協会の重鎮として活躍した須田国太郎の作品を中心に、日本近現代の芸術家の作品を展示しています。また建物は、江戸時代に対馬藩一行など多くの要人が宿泊所として使用した歴史と趣きのある「本陣」の外観を復元したものです。
東洋において代表的な黒色材料である墨。本展では、墨画や日本画のほか、硯箱や文臺といった工芸品など、墨に関する作品を幅広く紹介します。
墨は中国から伝わり、日本では明治時代(1868-1912)に鉛筆や万年筆の輸入が始まるまでの約千年以上もの間、筆記用具として重要な役割を果たしてきました。
にじみやかすれ、ぼかしといった表現方法がある墨は、使用者によってさまざまな表情を見せます。水の量を変えることで濃淡にも幅ができ、墨一つでも、光や奥行きを表現することができるため、芸術の世界においても多くの画家を魅了しています。
一方、墨と密接な関係にある硯箱や文臺といった調度品には、漆に金や銀の粉を使った蒔絵が施され、芸術品に昇華したものもあります。
墨から生み出される多彩な世界をお楽しみください。
「平目地源氏蒔絵文臺」 漆
「平目地源氏蒔絵硯箱」 漆
靉光 「鳥」 1938年 紙・墨
森寛斎 「雨中漁船図」 絹本墨画
須田国太郎 「猛禽」 1946年 紙本墨画淡彩
竹久夢二 「郵便」 紙・墨
三之瀬御本陣芸術文化館(須田国太郎常設展示館)
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