この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
 また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
 館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。





展示案内

うつくしき古伊万里たち」

 2024年4月10日(水)~ 7月1日(月)

 チラシ(おもてうら

 江戸時代に作られた古伊万里は現在に至るまで多くの人々を魅了してやみません。
 一口に伊万里焼と言ってもその魅力は様々です。草創期故に技術は未熟ながらも、それによる柔らかな白磁と滲むような線描が目にやさしい初期伊万里。乳白色の素地に赤や金が美しい柿右衛門様式や、ヨーロッパの宮殿の大空間に映えるよう作られた豪華絢爛な金襴手様式は、英国のメアリ―2世やアウグスト強王などの王侯貴族をも虜にしました。同じ伊万里焼でありながら、多様なスタイルで、時代や国を問わずファンを絶やしません。
 本展では、名品揃いの当館所蔵品の中から厳選したうつくしき古伊万里たちをご紹介します。みなさまの心に響く古伊万里と、出会えることを願っております。

併設「香りを楽しむうつわたち」
 香をいれる器に陶磁器製のものも欠かせません。ここでは古陶から現代陶芸作家の作品まで、香りを楽しむために作られた器をご紹介します。今も昔も変わらず作られ続ける香合や香炉をお楽しみください。



「色絵花鳥文角瓶」 1670-90年代・柿右衛門様式


「瑠璃釉金銀彩富士山雲文四足角皿」 1655-60年代・寛文様式




「色絵草花文蓋付香炉」 1670-90年代・柿右衛門様式