この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
 また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
 館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。





展示案内

「うつわの表面」

 2024年7月3日(水)~ 9月9日(月)

 チラシ(おもてうら

 うつわの表面をじっと見つめてみると、その表面にはさまざまな様子が見えてきます。ざらざらしているもの、つるつるしているもの、でこぼこしているもの…それに色や模様もさまざまです。例えば、備前焼などの表面がざらざらしているうつわ。土の素朴な風合いを楽しむことができるこのやきものは、焼締と呼ばれる釉薬を掛けずに焼き上げる手法で作られています。このやきものは、窯の中の炎や灰によって色や模様が加えられ、これが“景色”と呼ばれて楽しまれています。また、伊万里焼など表面がつるつるとしているうつわもあります。こちらは釉薬を掛けることで光沢のあるつるつるした仕上がりになっています。このうつわに文様を描いたり装飾を付け加えることで、美しいやきものが生み出されていきます。
 本展ではやきものの種類ごとに、やきもの表面を見ていきます。そこには、職人や作家によって見いだされた知恵と技術が詰まっています。ぜひこの機会に、うつわの表面をじっくりご覧ください。







「白磁捻花文鉢」 伊万里・延宝様式 1670-90年代


関連イベント

ギャラリートーク(学芸員が所蔵品展を案内します。)

日  時 | 7月14日(日)、8月25日(日) 13時30分~(1時間程度)