この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
 また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
 館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。





展示案内

「柿右衛門の赤と、余白の美」

 2023年2月1日(水)~ 4月10日(月)

 チラシ(おもてうら

 伊万里・柿右衛門様式のやきものといえば「赤絵」「余白」「濁手(にごしで)」などの言葉があげられます。様式名の由来となった初代酒井田柿右衛門(1559-1666)は、400年ほど前の肥前・有田で色絵を完成させたと言われます。彼の生み出した「赤」の絵具にまつわる秘話や、やきもの全体のバランスに大きくかかわっている「余白」の力、また柿右衛門様式の特徴的な素地である「濁手」について、所蔵作品とともに紹介します。
 また、期間中に開催する『いけばな×松濤園 歴史がつむぐ花と美』にちなみ、「花入」の特集展示コーナーを設けます。古伊万里のみならず、さまざまな花入をお楽しみください。



「色絵柘榴柴垣鳥文皿」 1670-90年代


「色絵花卉文六角壷」 1670-90年代