この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
 また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
 館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。





展示案内

「時代と伊万里焼」

 2024年1月31日(水)~ 4月8日(月)

 チラシ(おもてうら

 江戸時代初期に始まった伊万里焼は、様々な歴史的事変や流行の影響を受けながらスタイルを変えていきました。
 江戸時代に入るまで日本は、磁器の入手を中国からの輸入に頼っていました。文禄・慶長の役がきっかけで日本に渡って来た朝鮮人陶工・李参平が肥前・有田の地で原材料となる陶石を発見したことにより、国内での磁器生産が始まりました。これが伊万里焼です。産地の肥前では、これを自らの切り札にすべく生産の向上に努めました。献上を目的とした鍋島や、西欧向けの製品である柿右衛門様式や金襴手様式を生み出しました。
 本展では、所蔵の伊万里焼から、作られた時代が垣間見える品々を並べてご紹介します。


特集展示《日本の近代陶芸》
 江戸時代まで陶磁器生産は、職人による分業生産が中心でしたが、明治に入り「陶芸」という芸術分野が確立します。個性や創造性を表現するため自ら陶芸の世界に入った者や、製陶家業に生まれその伝統を継ぎながらも己の表現に昇華した者など、大正から昭和に活躍した陶芸家を所蔵の作品からご紹介します。



「染付芙蓉手VOC欧字文大皿」 伊万里・元禄様式 1690-1710年代


「色絵荒磯文皿」 伊万里・元禄様式 1700-40年代



「青磁下蕪花瓶」 板谷波山