江戸時代、朝鮮通信使の来日に際し、下蒲刈島が藩の接待所・玄関口として大歓迎をした記録が多く残されています。なかでも「安芸蒲刈御馳走一番」といわれたほどの歓待ぶりで、往時の記録をもとに全国から集めた食材を使っての豪華な膳を忠実に復元した展示は圧巻です。
この資料館は明治中頃に建てられた富山県砺波地方の代表的な商家造りである「有川邸」を移築したもので、石置き屋根に豪壮な井桁組みを持つ重厚な建物です。
このほか本陣とその付近を復元し、通信使の行列人形を配したジオラマ模型や、当時の通信使を再現した等身大の人形、さらに精密に再現された 1/ 10の朝鮮通信使船の模型や全国から集めた朝鮮通信使に関連した「土人形」「張子人形」、通信使行列図や船団図など、往時をしのぶ資料を多数展示し、興味深く見学することができます。
瀬戸内海交通の要衝として栄えた下蒲刈島には、江戸時代に西国大名の参勤交代や琉球使節団の江戸上り、朝鮮通信使が立ち寄った歴史があります。幕府は日本の将軍の襲職(しゅうしょく)を祝う使節として琉球国へ慶賀使(けいがし)を、また、琉球国王の即位を感謝する意を込めて謝恩使(しゃおんし)の派遣を求めました。朝鮮王朝へも、徳川幕府の慶賀の使節として朝鮮通信使の派遣を求めました。瀬戸内海は当時、外国の使節が行き交う重要な海の道でもあり、下蒲刈島はその使節団が立ち寄る海の駅でした。
本展では下蒲刈の歴史を、所蔵資料を通してご紹介します。
「寛政九年琉球人来朝之図」 寛政9(1797)年
「御免琉球人行列附」 天保13(1843)年
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蒲刈本陣と通信使行列の模型 | 三汁十五菜 | 朝鮮通信使船模型 |
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