江戸時代、朝鮮通信使の来日に際し、下蒲刈島が藩の接待所・玄関口として大歓迎をした記録が多く残されています。なかでも「安芸蒲刈御馳走一番」といわれたほどの歓待ぶりで、往時の記録をもとに全国から集めた食材を使っての豪華な膳を忠実に復元した展示は圧巻です。
この資料館は明治中頃に建てられた富山県砺波地方の代表的な商家造りである「有川邸」を移築したもので、石置き屋根に豪壮な井桁組みを持つ重厚な建物です。
このほか本陣とその付近を復元し、通信使の行列人形を配したジオラマ模型や、当時の通信使を再現した等身大の人形、さらに精密に再現された 1/ 10の朝鮮通信使船の模型や全国から集めた朝鮮通信使に関連した「土人形」「張子人形」、通信使行列図や船団図など、往時をしのぶ資料を多数展示し、興味深く見学することができます。
朝鮮通信使は、江戸時代に約400~500名で12回来日しました。さらに、江戸までの道中に沿道の各藩が警護や案内に人を出したので、全体では数千人規模の行列で進みました。また、朝鮮通信使行列を一目見ようと人々が押し寄せたとされ、当時外国との交流が制限されていた日本において、高い関心が寄せられていたことが分かります。朝鮮通信使行列は数々の記録画に描かれ、現在に伝わっています。その他に、江戸時代に巻き起こった一大朝鮮ブームの影響で制作された絵画や工芸品など、モチーフとしても取り入れられました。
本展では所蔵品を中心に朝鮮通信使行列が描かれた数々の絵画資料を紹介します。
「朝鮮通信使歓待図屏風」 江戸時代初期
「清道朝鮮人大行列記大全」 延享5(1748)年以前
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蒲刈本陣と通信使行列の模型 | 三汁十五菜 | 朝鮮通信使船模型 |
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